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被災がれきを焼却炉で処分した場合の被ばく量の試算

瓦礫の広域処理の足かせとなっているのは、受け入れ自治体住民の安全性への理解です。

「1Bqでも外部に漏れるのは認めない」という極端な意見をいう方は相手にしても埒があきませんが、大抵の方はこういうリスクの問題は程度問題で議論しないといけないことはご存知です。

つまり、現在の汚染や、日常の食事などからのセシウム汚染と比しても有意に大きな数字となれば、ちょっと待てよという話になる。一方、それらに比して遥かに小さい値、例えば千分の1のレベルという事が理解できれば、それなら心配する必要はないなという話になる。

だからこそ、私もまずは実際にどれほど外部に漏れるのかを科学的に検証させ、その数値を元に議論を始めましょうと主張していました。

しかし、最近、実際の焼却炉での実測値が公開されました。
http://kouikishori.env.go.jp/faq/haigasu_20120124.pdf

こちらの環境省の説明資料にも、同じデータが載っています。
http://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_koiki_mat20120202.pdf

これにより、バグフィルターによる除去能力が確かめられましたが、この実測値がどのぐらい低い値なのかを別の角度から大雑把ですが試算してみました。

ND(検出限界以下)だと、それ以下であるということしか分からないので、唯一バグフィルター方式で検出限界を超えて数値が出ている数値を使うことにします。
福島市の「あらかわクリーンセンター」で10/27に測定されたデータを見ると、飛灰に約3万Bq/kgのCs137が含まれた瓦礫を燃やして、排ガスから0.007Bq/m3が検出されています。

規制値ぎりぎりの瓦礫だけを燃やすと8000Bq/kg(Cs134+Cs137)が残ると言われているので、上記の事例と同じ比率で排ガスとなると計算すると、約0.002Bq/m3の放射性Csが排ガスに含まれている計算となります。

では、例えばCs137が0.002Bq/m3含まれる空気を1年間吸い続けて過ごしたら被ばく量はどれ程になるかを計算してみます。

吸入摂取した場合のCs137の実効線量係数は6.7×10-6 (mSv/Bq)
成人1日あたりの吸入量は20m3なので、
1年間での被ばく量は、0.002Bq/m3 x 20m3 x 365 x 6.7mSv/Bq x 10-6 ≒ 10-4mSv = 0.1μSvとなる。

これは食事1回分の被ばくよりも少なく、事故前の自然放射線による1時間の被ばくと同程度です。
排ガスは実際には遥かに希釈されますし、そもそも瓦礫の平均含有量も規制値をずっと下回るでしょうから、焼却炉の近隣住民でさえ、さらに何桁も低い影響であろうと思われます。

これは、ほぼ完全に安全であると宣言して大丈夫な数値でしょう。
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内部被曝の影響について

シーベルト変換して影響を書いていますが、内部被曝を外部被曝と同様に扱うことはできません。あくまでベクレルで考えないといけませんよ。

内部被曝

>シーベルト変換して影響を書いていますが、内部被曝を外部被曝と同様に扱うことはできません。あくまでベクレルで考えないといけませんよ。

どういう勘違いをされているのか存じませんが、放射線の影響はBqでは表せません。

吸入摂取した場合の実効線量係数とは、空気中に漂う放射性物質を呼吸で1Bq取り込んだ場合、それがどの程度吸収され、どの体の部位にどのように分散するのかを放射性核種毎にモデル化し、放射線の影響を表すSvに換算するための係数です。

つまり、取り込む放射性物質の量(Bq) x実効線量係数(mSv/Bq)で、実効線量が求まります。

内部被曝と外部被曝の比較でよく混同されるのは、いずれも単位はSvで表されるけれども意味が異なる等価線量と実効線量でしょう。

外部被曝の数値には、全身での影響を見る実効線量値しかありません。
外部被曝は基本的に全身均等に被曝するからです。

内部被曝の場合には、核種ごとに取り込まれ方も体内での振る舞いも異なりますので、組織毎の影響を見る等価線量という数値があります。

さらに、食べ物や呼吸から摂取してから50年後(子供は70年後)までの期間に受ける被ばく量の積算値を示す預託線量という数値もあります。

つまり、内部被曝には、同じSvで表されるけれども意味の違う4つのパターンがあります。

1.組織の等価線量(組織毎の被ばく量)
2.実効線量(全身換算の被ばく量)
3.預託等価線量(50年後までに受ける等価線量の積分値)
4.預託実効線量(50年後までに受ける実効線量の積分値)

放射性ヨウ素による甲状腺内部被曝の数値は、大抵1か3です。
これを2や4の実効線量に換算して外部被曝と数値比較が可能になります。

この等価線量値は、実効線量よりも見かけ上はずっと大きな数値になりますし、同じSv単位で表されていることから、これを実効線量と勘違いして大騒ぎする事例がネット上でも多々見られます。

No title

0.1μSv/一年という数字は、要するに肺だけが被曝した時の等価線量ということなのでしょうか?
経口摂取や外部被曝と比較されていますが、臓器による感受性の違いというものはないんでしょうか?
肺が年間0.1μSv被曝した時のリスクは本当にわかっているのでしょうか?
放影研がヒロシマの内部被曝のデータを公開していなのも気になります。勉強すればするほどわからないことだらけです。

いち薬剤師さまへ

コメント有難うございます。
この辺りのお話は、ネット上には沢山情報が転がっていますので、ご確認頂ければとは思います。
例えば、以下の「内部被曝量の計算手順」をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001cyyt-att/2r9852000001cz7c.pdf

> 0.1μSv/一年という数字は、要するに肺だけが被曝した時の等価線量ということなのでしょうか?

いいえ、セシウムが血液に吸収され全身に広まり、その結果、各器官毎の分布を元に等価線量を求め、それらの影響を合計して全身の実効線量を求めたものです。

ヨウ素やセシウムは、呼吸により気管支や肺から、また飲食物などで口から入ったものは消化器官から吸収されて血液の中に入り、全身に送られます。その後、それぞれの核種によって、どこの器官に集まりやすいなどの体内での振る舞いが異なってきます。

例えば、吸入摂取による実効線量係数とは、以下のような点を、一つ一つの核種毎にモデル化して出されている数値です。
1.1Bqの放射性核種を呼吸により吸入すると、どれだけがどのように吸収されるか?
2.その後、臓器や器官にどれだけが分布し、どの期間どれだけ留まり、どのように排出されていくか?(体内動態モデルと呼びます)
3.2から、各臓器での放射線の吸収線量(単位はグレイ)を計算。
4.3から、各臓器での等価線量(単位はシーベルト)を計算。
5.4から、各臓器の放射線感受性を考慮して補正を掛け、これを全身で合算して実効線量(単位はシーベルト)に換算します。

こうして核種別に出された数値が、実効線量係数(Sv/Bq)です。
つまり、詳細に各臓器での振る舞い、感受性などの違いも考慮して、全身でどれだけの影響がでるのか?を計算しています。
この数値は、取り込み方の違いで吸収率が当然異なりますから、経口と吸入とで別々の値が求められています。

> 経口摂取や外部被曝と比較されていますが、臓器による感受性の違いというものはないんでしょうか?
> 肺が年間0.1μSv被曝した時のリスクは本当にわかっているのでしょうか?

もちろん上記のように詳細にモデル化されていますし、肺だけの被ばくではありません。
モデル化ですので、現実とは若干ずれているでしょうが、様々な研究データなどからこのモデルやそれぞれの評価値はICPRからレポートが出るたびに、さらに精密に、かつ詳細になっていっていますので、実際とのズレはどんどん少なくなってきているでしょう。そして、ヨウ素131を吸入摂取した場合の甲状腺の等価線量というのは、上記4での甲状腺での値から求められます。

矢ヶ崎さんなど、ICPRが内部被曝を考慮していないとおっしゃっる方がいますが、実際には詳細に、綿密に体内での動的振る舞いをモデル化して内部被曝を考察しています。
仮にも科学者なら、もう少し勉強されてから批判すべきだと思いますね。
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